理事長所信

一般社団法人酒田青年会議所 2020年度 理事長所信

第54代 理事長 佐藤 愛

はじめに

 目まぐるしく変わっていく世の中で殊に21世紀になり大きく変わったもの、それは「価値基準」だろう。小さい頃から正解は1つだと思っていたし、そう教えられてきた。しかし、今はものさしの種類が多くなり、正解が一つではなくなっている。どれも正解で、どれも間違っていない。そんな多様化しながらもスマート化していく複雑な社会の中、混沌とした想いを抱えながら、時代の変化に巻き込まれ、どこか生きづらさを感じる人たちもいるのかもしれない。

 そんな中でも、我々は変わらないものがあることを理解しなくてはならない。それは思いやりや感謝、共感、あるいは愛のような温かい感情。一言で言えば「体温」だ。多様性を認め、受け入れることで生まれる価値観の広がりは、今後社会を生き抜く個人として必要なものになってくる。そして、時代が変わってもそこだけは変わらずに人の心を動かすものが存在する。それは人が何かに向かおうとする「情熱」だ。決して本人にそんなつもりはなかったとしても懸命な姿に共感を覚えたり、感動したりした経験は誰にでもあるはずだ。

 我々は多くの諸先輩方が築いてきた酒田青年会議所の伝統を受け継ぎ、「情熱」を燃やすだけではなく、それを可視化し地域の「体温」を上げていく責任がある。

山鉾文化の継承と創造

 慶長14年(1609年)から絶えることなく続いている山王例大祭酒田まつりは今年で411年目を迎えようとしています。山車行列の中心にある山鉾は1996年の復活から、2008年には20mを超える立て山鉾へと形を変えながら存在し続け、酒田の湊町文化の象徴として魅了してきました。しかし、技術継承の問題や熱意の相違、差し迫る立て山鉾の老朽化や保管場所の問題はもちろん、諸先輩方の創始の想いや運動は目的通りに達成されたかというと決してそうではなく、受け継いでいくものと新たに創造していくものを見極めていくタイミングが目の前にきています。我々は今一度創始の思いを理解しながら、現実に直面しなくてはならない時を迎えています。

 今年度は山鉾事業の今後のあり方を考える年として、これまで向かって来た我々の「情熱」をただの想いだけではなく、可視化する事により長期的に誰もが後世へ繋いでいく事の出来るものにし、その事業が地域にとって光となる存在でなければなりません。地域に欠かすことのできないまつりに対し、歴史文化を継承しながら青年らしい「新たな情熱」を燃やしていくために、まちを巻き込み、協働しながら酒田まつりへの継続的参画方法を創りあげます。

主体的に行動する人財交流育成・拡大

 かつて先輩たちは戦後から「明るい豊かな社会の実現」に向けて情熱を傾けてきました。それは、主体的行動によってその時代に即した運動展開として拡がり、現代ではその問題をあえて論じなくても、ある程度は社会秩序として維持されているように見えています。しかし特に震災以降、より私たちの主体性は求められ、正面から真剣に考えなくてはならない時を迎えています。そんな今だからこそ本質を知り、主体的に行動できる人財がこの団体だけではなく、地域に必要とされています。

 昨年、多くの新しいメンバーを迎え着々と新しい風が吹いています。しかし、その新しい風をただの風として流すことなくしっかりと組織に定着させることで、人財として輝かせなくてはなりません。法人格の移行に伴い会員資質の向上をはかる取り組みを行い、入会3年未満のメンバーを中心に、歴の長いメンバーとの交流を深めるとともに、情熱を伝播させるための会員交流を行います。そして、時代に即した団体となるべく、我々を支えてくれる家族や周囲及び地域また企業に対し、運動や活動に理解と協力を求め、志を同じくする同志を輩出していただける団体となることが求められています。

 かつて東北青年フォーラムで、LOMが一つになる大きな経験をしてからもう6年が経とうとしています。17年ぶりのブロック大会を視野に入れて人財を育てながらLOM内の士気を上げ、その機運を高めていくアクションを起こします。

地域に根差した全世代交流の創造

 2020年は東京で56年ぶりにオリンピックが開催され、国内は東京を中心に盛り上がりが予想されます。オリンピックの父・クーベルタンが唱えたオリンピズム=オリンピックの精神とは「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること」。

 文化芸術は都市の品格を表すと言われ、人と人をつなぐ力があり、創作過程で生まれる感動や感情の共有は個性を認める関係性の構築につながり、多様性を受け入れるまちづくりにつながります。

 私たちの住むこの地域もホストタウンとして世界とつながり、多方面から注目される2020年。かつて北前船が往来し街の繁栄をもたらした背景には様々な文化を受け入れた先人たちの懐の深さがあり、我々はその気質を受け継ぎ後世へ伝えなければいけません。そんな時代であるからこそ、自分の親世代またその先の世代の想いを受け継ぎ、自らが生きていく上での多様な引き出しを持ちながら、故郷を誇れる人財となるべく後世の人間を育成していく必要があります。

地方×SDGsの可能性

 SDGs(持続的な開発目標)へ対しての青年会議所としての取り組みは2004年に福岡で開催されたJCI世界会議にて決議された国連ミレニアム開発目標(UN-MDGs)の推進まで遡ります。SDGsはその後、2015年国連サミットにおいて、UN-MDGsの後継として「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載され、2030年までの国際目標として17のゴールと169のターゲットから構成された国際目標です。日本国内でも近年積極的な取り組みを見せており、青年会議所はそれを地域経済の再建と国家経済の再興、そして国際社会との連携を鑑みる事業の推進を行っています。酒田青年会議所としても「経済」「社会」「環境」の三側面から地域課題の解決に取り組んでいきます。

 日本における就業者の約60%が三大都市圏外の地方都市で働いていると言われ、地方企業こそが日本の未来を支えていると言っても過言ではありません。

 まちの経済発展と企業の成長を促す取り組みとして、酒田青年会議所として2015年から取り組んでいるSDGsを地域へ認知させ、メリットを提示しながら中長期的な価値の向上へつなげていきます。

 不確実性の増す現代社会において、昨今多くが関心を寄せている“持続可能な”社会。目先の17のゴール指標に当てはめるというだけではなく、その先の169のターゲットを理解し、地域課題の解決に向け主体的にSDGsへの取り組みを見せていきます。

結びに

 どんな人間にもチャンスは平等で、まずはそれを掴むか掴まないか、そして与えられたチャンスに対し全力で取り組めたかで人生は変わるという。そしてどこに行っても、必ず何かを成そうとしたときにその個人個人ならではの「ガラスの天井」は存在するだろう。

 しかしながら、そこに目を背けることなく向かい続けることに価値はある。変化を受け入れれば、自ずと自らや組織も変わっていく。それこそがJC活動の醍醐味であり、かつての先輩たちが燃やしてきた「情熱」なのかもしれない。そしてそのチャンスは私だけでなくメンバー全員に開かれているのだとみんな認識してほしい。

Never doubt that you are valuable and Powerful and deserving
of every chance and opportunity
in the world to pursue and
achieve your own dreams.- Hillary Clinton

あなたたちには価値があり、力があり、夢を追い求め、叶えるために
この世のあらゆるチャンスが与えられていることを信じてください。
−ヒラリー・クリントン

スローガン

情熱の可視化
共感が地域の体温を上げる

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組織図

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