2023年度 理事長所信
第57代理事長荒生 卓真
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はじめに
現在この地域は、長らく問題とされてきた高齢化・少子化による人口減少や、現在でも終息が見えない新型コロナウイルス感染症の影響でまちの活気が失われつつあります。特に新型コロナウイルス感染症が残した爪痕はとても深く、多くの活動が制限され人と人とが面と向かって交流することを抑制され、経済界のみならず様々な分野・業界に影響が出ています。
このような状況で、この地域の未来はどのようになるのか、私たちは明るい未来を描けるのか、不安材料が増すばかりであります。
私は、23歳の時に酒田青年会議所に入会しました。多くの先輩がまちのために時間を使い汗を流し活動している姿を肌で感じ、たくさんの指導を受け活動を続けてまいりました。その中で、青年会議所とは単にまちづくりをしている団体ではなく、人との出会いや様々な人と接する中で、多様性の理解やその中から自己成長に繋げていく、いわゆる人づくりの団体であるということに気づきました。
私は、未来のことは未来の人たちが考えればいい、その時代生きていない私たちには関係ない、このようなことを言う無責任な大人にはなりたくありません。私たちの子ども世代や孫世代の環境も私たちが責任をもち、創っていかなければなりません。このような困難な時代・地域であるからこそ、青年会議所活動によって力をつけた私たちが地域をけん引するリーダーとなり、未来思考でまちを創る運動を興し、地域の活気を取り戻す必要があります。
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青年会議所活動の在り方
新型コロナウイルス感染症の影響で私たち青年会議所活動も大きく変化を遂げました。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたことで、徐々に日常生活は取り戻せているかのように言われ始めていますが、本当にそうなのか疑問を感じます。多くの同志と集まって会議をすること事体に何か後ろめたさを感じる時があります。確かにアフターコロナやウイズコロナと言われる今、人と人とがウェブを活用して仕事をすることや、青年会議所としても会議や事業や各種大会がウェブでも参加できることが当たり前になってきています。これは一概に悪いこととは思いませんし、様々な理由で参加できない人に機会を提供する観点からは素晴らしい取り組みだとも思います。
しかし、私は常に『人は人でしか磨かれない』と教わってきました。実際に面と向かって集り会議をすることで得ていた効果、人と人が触れ合うからこそ生まれる新しいアイデアや、何気なく話していたことから生まれる気づき・お互いの立場や主張を理解するように努める意見交換から得られる効果が非対面からでは得にくく無くなっているように感じます。様々な大会や事業がハイブリッド開催になったことで、安易にウェブ参加を決めてしまいその場にいることでしか得られなかった何かを得る機会を失っていることも多くあると思います。
私たちはこのような困難な時代だからこそ、面と向かって議論を行う意義を見つめ直し、新型コロナウイルスから学んだ経験を次世代へ進めてまいります。
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未来のまちと未来の青年会議所
私たち青年会議所はまちづくりを行う団体です。まちをつくることは未来を創ることです。言い返せば青年会議所は未来を創る団体であります。今この地域に必要な運動は何か、その結果10年後の未来はどうなっているか、これを真剣に考え青年会議所が存在している価値を改めて理解をし、青年会議所として、会員としての魅力を高めていくことが必要です。
また、若者の流出が問題になっているからこそ、もっと若者の視点でのまちづくりができるように、若者が定着できるまちとはどういうものなのか考えていくことも必要であります。若者が能動的にまちづくりへ参画できる、共に未来を創る、そして世界に通用する若者の育成をし、若者主導のまちづくりが行えるように私たち青年会議所が旗振り役となり、若者の地域の未来を担う意識が高まる運動を展開してまいります。
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女性が輝けるまちへ
酒田市の令和元年度の調査では、子育て世代において子育てに対する不安や負担を感じている方が前回の調査より増加している傾向にあります。特に子育ての出費に不安を感じる・自分の自由な時間が持てない・子育てによる心身の疲れが大きいという回答が多くを占めています。私は、女性が住みやすいと思うまちは、全ての人が住みやすいまちであると考えます。特に20代・30代の女性が住みやすいまちへと変わった時に、持続可能なまちになるのだと確信しています。共働き率の高いこの地域で女性が本当に住みやすいまちを創ることこそが未来を創ることです。この世代への支援や環境づくりに関して私たち酒田青年会議所が、率先して子どもを産みやすく、育てやすく、女性がさらに輝けるまちへ変えていけるように声を上げていかなければなりません。
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人と地域が輝くインフラ整備と災害に備える準備
私たち酒田青年会議所が長きにわたり運動を展開してきた日本海沿岸自動車道いわゆる『夕陽ライン』。令和8年度に秋田県境が全線開通することが決まり、人との交流が得意な我がまちにとっても他地方から多くの方が訪れやすくなり交流も促進されます。しかし、我々の運動は道路が開通して終わりではなく、開通してからの地域間交流や観光促進など道路を活用した未来のまちの姿も描いていかなければなりません。
また、未来のこどもたちにより良い環境、特に地球環境を残していくためにカーボンニュートラルの地域を創造していくことも必要であります。自然環境に恵まれたこの地域であるからこそできるカーボンニュートラル社会実現に向けたこのまちのポテンシャルを見出していきます。
そして、東日本大震災が発災した当時、私は先輩たちが寝る間を惜しんで支援活動に奔走している姿に感銘をうけたことを今でも鮮明に覚えています。発災から12年経過し、その間も全国各地で様々な災害が発生していますが、私たち酒田青年会議所自体災害に対する意識や備えが薄れていると感じます。青年会議所が災害対策に対して行えることは多くあると思いますが、まずやらなければならないのは、発災してすぐに私たちが支援に動ける体制を整えることです。災害は起こるであろうではなく必ず起こるという意識で、地域や青年会議所のネットワークをフルに活用し、協働して災害に備える体制を整えます。
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共に行動する仲間づくり
40歳で卒業を迎える青年会議所には多種多様な人財が多く入会しています。前段でも述べたように青年会議所はまちづくりを行う団体でありますが、私は人づくりに最も長けた団体であると思っています。私も13年間在籍をし、多くの先輩方や会員との交流により人格形成され自己成長してきたと自負しています。この、すばらしい団体の魅力をもっと広く発信し、理念と価値を共感し入会していただける同志を拡大してまいります。そして、私たち酒田青年会議所の魅力・価値を高め、地域に必要とされる団体として組織力を強化してまいります。
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会員間交流の拡大
私たち酒田青年会議所は20歳から40歳までの異業種の集まりです。この会員同士の交流を拡大していくことは、個人として多くの情報や学び・気づきを得られやすく、その繋がりを強固なものとなり、私たち酒田青年会議所の組織力が増していきます。近年新型コロナウイルス感染拡大の影響で会員間交流にも制限がかかってきていました。今年度はさらに会員間の繋がりを大事にし、個人としてかけがえのない仲間づくりを会としても後押ししていきたいと思います。その繋がりが酒田青年会議所の組織力を強化させ、その力こそがこのまちの未来をより良いものとすると確信しています。
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地域の賑わいは我々が率先して
昨年3年ぶりに開催された酒田まつり。沿道に来ていただいている多くの笑顔を見て、私は改めて酒田まつりのすばらしさに気づきました。地域の元気をつくることは率先して私たち青年会議所が努めていかなければなりません。
酒田まつり以外にもこの地域には多くのイベントがありますが、単に賑わいを創出するだけではなく、伝統文化を知るきっかけやこの地域の歴史を知るきっかけになる要素が酒田まつりには多くあります。
今年度、酒田青年会議所は引き続き多くの市民の笑顔をつくるために、酒田まつり主催団体として積極的に参画してまいります。また、2008年に酒田青年会議所の手で復活した立て山鉾ですが、新型コロナウイルスの影響や老朽化、保管場所の問題により3年間建設できていない現状があります。これら多くの諸問題を抱えておりますが、多くの方々を笑顔にできる立て山鉾を持続可能的に建設できるように根本から考え直す必要があります。
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まちの魅力を発信できる人財へ
この地域の魅力は何であるかを問われたときに、多くの方は『食・自然』と答えます。私も同感でありますが、日本全国『食・自然』を楽しむ箇所はたくさんあります。
私はこの地域の魅力の一つが『人間力』であると考えます。入会以来様々な地域に伺いましたが、酒田青年会議所で出逢った諸先輩方は他の地域を圧倒する個性豊かな方々が多くいらっしゃいます。この人間力が酒田に行きたい、行ってみたいと思わせている魅力の一つであると考えます。この力をこの地域の一人ひとりが持つことがこの地域の魅力が上がると確信しています。このまちの魅力を広く発信できる人財づくりを私たち酒田青年会議所が率先して展開してまいります。
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県内各地会員との交流促進
昨年第55回山形ブロック大会酒田大会を18年ぶりに酒田で開催することが出来ました。私も一昨年からブロック大会の構築に携わらせていただき、県内各地多くの出逢いと多くの学びの機会をいただきました。本年ブロック大会は新庄の地で行われます。前年度主管青年会議所のみならず主管青年会議所同志で繋いできた想いを新庄大会以降持続可能な大会にするためにも、私たち酒田青年会議所は第56回山形ブロック大会新庄大会の大成功のために全会員で参加協力をしてまいります。
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おわりに
私たちのまちは私たちで創る。子どもたちの未来は私たちがつくる。若者が少ないこのような時代・地域であるからこそ、青年会議所が率先して持続可能なまちに導いていかなければなりません。そのためにも、私たち酒田青年会議所は時代の変化を捉えながら、地域に必要とされる団体として、組織自体の在り方や積み重ねてきた歴史を重んじながら、変えていくものと変えてはいけないものをしっかりと捉え前に進んでまいります。
すべての人が輝けるまちは、永続的に続くまちであると信じ、多くの笑顔をつくる挑戦をしてまいります。
『挑戦をして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ』 本田宗一郎
基本方針
一般社団法人酒田青年会議所 2023年度 基本方針
- 1
笑顔と元気
あふれる
まちの創造 - 2
夢と誇りを
もった
人財育成
一般社団法人酒田青年会議所 2023年度 事業計画
- 未来のまちと未来のJCを考え行動する
- まちの魅力を発信できる人財の育成
- 災害に備える基盤構築
- カーボンニュートラル社会に向けた地域のポテンシャルの追及
- 人と人が繋がるインフラ整備の促進
- 共に行動する人財拡大と交流
- 地域の賑わいの創出
- 女性がさらに輝ける地域の創造
- 第56回山形ブロック大会新庄大会へ全員参加