所信・方針
2025年度 理事長所信

はじめに
音楽が好きだった私は、地域でイベントを企画し自らも出演する活動を開催してきました。20 年前には若者を中心に多くの観客が集まる活気に満ちたイベントも、最近では観客の数が減り、若者の参加がほとんど見られないという現状があり、時代やニーズの多様化の影響し、特に若者の減少が大きな原因だと感じています。
「判子を持ってこい」という先輩からのこの一言が、私の青年会議所活動のスタートとなりました。青年会議所がどのような団体で、どのような活動を行っているのか全く理解せずに言われるがまま入会しました。数年が立ち、仲間たちが地域を真剣に考え、汗を流す姿を見て、その重要性を次第に感じるようになりました。この地域に昔のような活気を取り戻したいという思いが、自然と私の中に芽生えてきました。
人は簡単には変わりませんが、小さなきっかけがあればすぐにでも変われると信じています。私はそのきっかけを地域の人々に広めることで、共に活気ある未来を築いていくことができると信じています。
世代を繋ぎ、未来を創る 若者定着で築く酒田の希望
酒田市の人口は近年、年々減少の一途をたどっております。2015 年には 10 万人を超えていた本市の人口も、人口ビジョンによれば 2040 年には約 7 万 4 千人、さらに 2060 年には約 4 万 9 千人と予測されており、現状のままでは 35 年後には約半数にまで減少する見込みです。この人口減少問題は日本全体が直面している深刻な課題であり、単純な解決策が存在しないことは周知の事実であります。しかしながら、特に本市においては、若者の流出を防ぎ、社会減を最小限に抑えることが、愛する故郷を守り次世代に受け継いでいく上で最も重要な取り組みであると確信しております。
現実として、酒田市の人口は 5 年ごとに数千人規模で減少しており、この流れを我々の力だけで完全に止めることは困難であります。しかし、この難題に立ち向かうためには、一人ひとりの個人に焦点を当て、その方々がいつの日か酒田に戻り、またはこの町にとどまるという選択をしていただけるよう、世代を超えた対話と共感を醸成することが肝要です。市民一人ひとりがこの町に希望と誇りを感じられるよう、当青年会議所をはじめとするまちづくり団体や行政機関、そして未来を真剣に考える大人たちが一丸となり、積極的に若者に働きかけていくことが求められています。
また、インターネットや携帯電話の普及により、驚異的なスピードで情報化社会が進展しております。その一方で、この技術革新がもたらすアルゴリズムの影響により、町に関するネガティブな情報がポジティブな情報よりも拡散しやすいという現状もあります。このような状況が、若者たちの中に「酒田を出たい」という感情を助長している側面があることも否めません。故に、まずは私たち大人が、若者を単なる統計上の存在として捉えるのではなく、個々の人格と可能性を尊重し、直接的かつ心の通ったコミュニケーションを実施する必要があります。一人ひとりが酒田の未来を担う「希望の担い手」として、この町で活躍し続けていく土台を創り、若者の地元に残る存在意義を高めます。
経験を活かした防災意識の醸成
私たちの活動エリアである酒田市と遊佐町は 7 月 25 日に発生した豪雨により、甚大な被害を受けました。まさか自分たちの町が被災地となるとは、誰もが想像していなかったことでしょう。そして、私自身もまた、「備えが不十分だった」と痛感しております。それは、心のどこかに「自分たちには関係ない」という甘えがあったのかもしれません。
しかしながら、災害が現実のものとなり、被災地の現状を目の当たりにしたとき、酒田青年会議所はいち早く行動を起こしました。私たちは、酒田市と遊佐町におけるボランティアセンターの立ち上げ、資機材の確保、車両の手配など、迅速かつ継続的な支援を展開しました。この迅速な対応が可能であったのは、諸先輩方による全国的なネットワークと、現役会員同士の強い横のつながりがあってこそです。
多くの皆様からのご支援をいただく中で、私たちは改めて当会議所活動の意義と、地域社会における存在意義を実感しました。この経験を踏まえ、一時的な対応に留まることなく、災害への備えと防災意識の重要性を広めることを、当会議所の責務として決意いたしました。
これからの未来を見据え、酒田市と遊佐町が「災害に強いまち」となるために、地域の皆様とともに、防災意識の底上げと当事者意識の醸成に全力で取り組んでまいります。会員一人ひとりが率先して行動し、この地域の防災力向上に寄与することで、次世代に安心して暮らせるふるさとを残していくことをお約束いたします。
酒田青年会議所 設立 60 周年に向けての決意
2026 年、酒田青年会議所は創立 60 周年という節目の年を迎えます。この記念すべき年を目前に控え、私たちはこれまでの 58 年間を振り返り、先輩方が築いてこられた実績と地域社会に与えた影響を深く考える時を迎えています。そして、59 年目を 60 周年への重要な準備期間と位置づけ、その意義を再認識することが、私たちに課せられた使命です。
設立当初に掲げられた理念に立ち返り、その理念に込められた創設者たちの熱い想いを再確認することは、私たちの活動の礎をより一層強固なものとするために大切な時間です。この理念に基づき、創設者が描いた地域の未来像を胸に抱き、その実現に向けて着実に前進してまいりましょう。
当会議所の活動は、地域社会に良い影響をもたらすだけでなく、メンバー一人ひとりの成長を促し、地域の未来を担う人財を育成する場でもあります。共に学び、成長することによって、地域全体に希望と活力を生み出すことができるのです。今、私たちに求められているのは、「変革」と「行動」です。持続可能で明るく豊かな社会を築くために、設立当初から受け継がれてきた理念に新たな息吹を吹き込み、地域貢献の取り組みを力強く進めていくことをここに誓います。未来を切り拓き、次の世代に誇れる地域社会を築いた酒田青年会議所の歴史を振り返り、創立 60 周年に向けたこの歩みが、さらなる飛躍の礎となります。
地域の未来を見据えた会員拡大
当会議所はかつて、100 名以上の会員を擁し、その結束と行動力で地域を力強く牽引していました。しかし現在、その数は半減し、重大な岐路に立っています。この現状は、私たちが地域の未来を真摯に見据え、次の一手を講じるべき時が訪れたことを物語っています。
地域の明日を想う心は、この土地に根付くすべての人々に共通するものです。その想いを具現化し、まちに変革の波をもたらす旗手となるのが、私たち青年経済人です。私たちは、ただ現状を受け入れるのではなく、新たな活力を吹き込み、変化を生み出す原動力となるべく、この場に集っています。
私たちの使命は、当会議所の存在意義を再定義し、その活動の重要性を多くの人々に伝えることです。そして、課題解決への実践を通じて、同じ志を持つ仲間たちを募り、力を結集することで地域にさらなる発展の道筋を示します。
挑戦には困難が伴います。しかし、その先には必ず成長と飛躍があります。私たちはこの機会を捉え、より強い組織へと進化するために行動を起こします。持続可能な地域社会を築くため、メンバー一人ひとりが連携し、確固たる未来を築く礎となる決意を新たにしています。
ここからはじまるのは、新たな物語です。ともに知恵を絞り、汗を流し、未来への扉を開く。この地域をさらなる高みへと押し上げる挑戦を、今こそ、次世代への責任を果たす時です。私たちの行動が、地域の希望となるよう、全力で前進してまいります。
結びに
個人の力には限りがあれど、志を同じくする仲間と手を携えることで、その可能性は無限に広がります。知恵を結集し、力を結束すれば、私たちが成し遂げられる未来には限界など存在しません。
一人ひとりの小さな行動が連鎖し、やがて地域全体を包み込む大きな波となる。「この町をもっと良くしたい」という純粋な想いこそが、仲間との絆を深め、共に成長し、新たな変革をもたらす CHANGE となるのです。この大切な町を未来に誇れる場所へと変える覚悟を持って次世代のために、考動しよう。
Slogan
一般社団法人酒田青年会議所 2025年度 基本方針
- 1持続可能な地域の創造
- 2未来を創造し実行できる⼈財の育成
一般社団法人酒田青年会議所 2025年度 事業計画
- 1世代を超えたコミュニケーションによる若者定着促進
- 2防災意識の底上げ
- 3酒⽥⻘年会議所創⽴60周年に向けた準備
- 4地域の未来を見据えた会員拡大
組織図
